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HELENA 作品抜粋を見る

Portrait

古典から生まれる、現代の映像短編集


能とは、独特な表現様式をもつ日本の伝統古典演劇である。ストーリーの土台を、多く日本古来の伝説や神話に求め、テクストの文体は、掛詞などの連想的かつ隠喩的な和歌の修辞技法を駆使した詩劇といえる。


2001年より開始したプロジェクトHELENAでは、能の古典物語を、映像によって現代の物語として作品化することを目的としている。古典のシチュエーションを現代的にアレンジ、もしくは原典の忠実な翻案化を目指すのではなく、原典から独立した現代のヴィジュアル・ストーリーとして、言葉を介さない映像物語としての姿を、作品に与えている。


能のテクストを貫く修辞技法を映像編集の手法として取り入れ、ダンサーの身体表現やグラフィック・イメージといった断片的で抽象的なカット映像が、隠喩的な躍動によって紡がれながら、理知的ではなく感覚的なある種のストーリー性をもつ《言葉なき物語》、それがHELENAの映像作品である。

一対一のコラボレーションによって描かれる、その人の物語


能の物語の中にだけ永遠に生きる架空の人物を、現代に呼び出してくるかのようなプロジェクトHELENAでの想像作業を通し、このシリーズでは逆に、現代に生きる一人一人の人間の小さな歴史を、一つの物語のように作品とすることを目的としている。


一人の人物とカメラが、同じ場にともに居するだけのコラボレーションの時間に、その人物のシンプルな生きる姿にふと、永遠性に到達するかのドラマ性を見いだす瞬間がある。思い出が逆流して迸り、ここにまた今、強烈に生き始める瞬間に出会う事がある。カメラが捕らえた、その人の生きるそのままの姿の様々な瞬間を、一つの想像された物語の中へと組み立てていく。写実的なドキュメンタリーではなく、一枚の描かれた肖像画のように、現実と想像の狭間の中に、事実かフィクションかの問いを超えた向こう側に、その人の姿が、作品として語り始める。

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