能『船弁慶』から発想された、ドラマティックな詩的映像である。オリジナルの二人の主人公は、大海原の逃避行を続ける義経に置き去りにされた静御前と、海上にて義経に襲いかかる平知盛の亡霊(義経により壇ノ浦の戦いに破れ、西海に果てた平家一門の大将)。

Labrysとは、対称形の両刀斧を意味している。


能のテクストにおいては、しばしば自然の状態や描写が登場人物の心理状態や状況をそのまま暗示する。« Labrys » では、義経という同一の相手を中心とするこの二人の登場人物の対照的な関係性が、同じ状景、心象風景の中にていつしか同一化するかに、愛憎/生死といった表裏の反転を繰り返す様相を描いている。

« Labrys »

2010年/仏 /フィクション/カラー/ステレオ/16:9/12 min/HDV/豊島由佳/出演: 竹井豊、世古口亜綾

音楽 : « Peaux » extrait de “ PLÉÏADES ” interprété par Les  Percussions de Strasbourg (Yanis Xenakis)

© Editions Salabert harmonia mundi s.a., Mas de Vert, 13200 Arles (p) 1987, 1996 Enregistrement janvier 1986 au Centre Europe de Colmar, en présence du  compositeur, Avec l'autorisation de Universal Music Vision

上映

2010 « Nuit Blanche », Paris

蝉丸に着想された能の悲話『蝉丸』:生まれながらに盲目の皇子と、天に逆立つ髪をもって生を受けた皇女。父帝により捨てられ、宮廷から追われた二人。皇子・蝉丸は、琵琶だけを所持し、山中の藁屋に住まいし、姉宮・逆髪は発作的に発狂しながら、辺境の地を渡り歩く。ある日、蝉丸の琵琶の音に誘われ、山中にて二人は遭遇する。血縁の再会の喜びもつかの間、二人は再び、互いの幸を願いながら、ただ別れ行く。

« Epiphania » では、能『蝉丸』から想起され、貴賤・盲明といった対照的な二つの性質の間での均衡を探すかの緊張感を喚起する。

« Epiphania »

2009年/日仏 /フィクション/カラー/ステレオ/4:3/14 min/DV NTSC/豊島由佳/出演:松尾尚司、丹羽真矢/音楽 : PIRAMI

撮影協力: 松本充明

レコーディング・ミキシング : 鎌田岳彦 (Foxy Room)/野中正行(響き工芸)/中村公輔 (深海スタジオ)/PIRAMI

RSS-10/Cello/Piano演奏 : PIRAMI/Manipulation : 斎藤 ( SHINSE NO SAITO DESU) & PIRAMI & 中村公輔

上映

2012 « Festival International des Très Courts», Château Thierry

2010 « Nuit Blanche », Paris

2009 « Festival Constante Cambiamento 13e », Florence

これやこの 行くも帰るも別れつつ 知るも知らぬも 逢坂の関

蝉丸(盲目の歌人/平安前期)

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作品構成の土台に、能の古典悲劇『隅田川』:子をさらわれた母親が、狂乱に陥りながら子を求めて街を徘徊し、最終的に悲劇的な結末にたどり着く;という物語を取り上げる。


子をさらわれて以来の母親の停止した心的時間と、それにもかかわらず結末へと向かう経過する時間。動画と静止画を用いて、その二つの異なる時間性が同一の時間経過に組み込まれ、進行しながらも宙に浮く、無時間的な状況を生み出すことを意図した作品。

« Interfuit »

2004年/日仏 /フィクション/カラー/ステレオ/4:3/18 min/DV NTSC/豊島由佳

出演: 松尾尚司、Mié COQUEMPOT、松本充明

音楽 : Mathieu MARTIN

上映

2010 « Nuit Blanche », Paris

2009 « Festival Constante Cambiamento 13e », Florence

2006 « International Dance Video Festival », Tokyo

2005 « International Festival on Mouvement and the Moving Image », Athènes

2004 « Monaco Danxe Forum », Monaco

2004 Festival « Dance and Media », Tokyo

《侵入》をテーマに、微動、垂直、空虚といった諸イメージの交差/連鎖を用い、男女性とその関係性をメタファー的に表現。

作品の時間進行の土台として、モチーフ的に日本のオルフェウス的神話の展開:ある男が、冥界に一人生きる女の魂を取り戻す為に旅立つ;を用いている。

« Vita Nova »

2003年/日仏 /フィクション/カラー/ステレオ/4:3/18 min/DV NTSC/豊島由佳

出演: 松尾尚司、武部磨美

音楽 : Mathieu MARTIN

上映

2010 « Nuit Blanche », Paris

2009 « Festival Constante Cambiamento 13e », Florence

2004 « Festival des films expérimentaux » MK2 Beaubourg, Paris

2003 « DANSETROMA TRIAL EVENEMENT 003 », Tokyo

2003 « Entraînements » Compétition internet - Ménagerie de verre, Paris

東京の風景の中を一人徘徊する男と、浮き上がる二人の《待つ女》。互いに現実か、幻影かの境をもたないままに、登場人物が関係性を示唆していく。


「『貧困に生きる海女の姉妹が、流罪の貴族にともに愛され3年を過ごす。ある日許されて都に帰る男は、再びの来訪を誓う形見として、自らの衣を残し立ち去る。果たされない約束を待ちわびたまま、姉妹はむなしく生涯を終えてなお、永遠にその地に待ち続けた』という伝説をもつ明石の浦に、ある旅の僧が訪れる。一夜をその地にて明かす僧のもとに、伝説の海女の姉妹が、時を超えて立ち現れ、想いの丈を明かす…」という夢幻能『松風』の物語を原典として、ストーリー展開の土台とし、作品のテーマを《断絶/継続》とし、物語と同時に東京の風景を散在する身体を素材としたショートカット・イメージの反復と周期的展開により、原爆を境にある断絶をもったかの、日本の風景を浮き彫りにすることを意図した作品。

« TOKYO MON AMOUR »

2002年/日仏 /フィクション/カラー/ステレオ/4:3/18 min/DV NTSC/豊島由佳

出演: 松尾尚司、玉内集子、北村徹子

音楽 : Mathieu MARTIN

写真 : イエハラトキオ

協力:西内麻衣子

上映

2010 « Nuit Blanche », Paris

2009 « Festival Constante Cambiamento 13e », Florence

2004 « Dance and Media, Cultural Mix from Tokyo » La Semaine de la cultures étrangères

à la Maison de la Culture du Japon à Paris

2003 Theater Television « Courts métrages sur la danse », Tokyo

2003 « Festival international de danse », Tokyo

2003 « Entraînements » Compétition internet - Ménagerie de verre, Paris

2003 Festival « Dance and Media », Tokyo

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古典から生まれる、現代の映像短編集

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